森のおさんぽ会 blog

瀬谷市民の森で、未就園児の親子を対象としたおさんぽ会のブログです。

生き物の同定

自分の目の前にある自然物の名前を確定させる作業を同定といいます。森を歩いていると「これ何だろう?」がつきまとう割には、大概そんな疑問も忘れて疑問なままで終わってしまうことも多いです。動植物の種類の名前をもちろん知らなくても良いのです。でも、名前がわかると、つまり、区別がつくようになり、目に入るようにもなって楽しくなり、また、動植物を正しくわかることで危険回避もできます。

夏休みに入り、小1の息子の友だちに「森にカブトムシ捕りに一緒に行こう」とねだられ、そんなおねだりには喜ぶ私でして、他にも仲間を誘って行ってきました。カブトムシを探すってことは、まず好物のクヌギの樹を探すところから始まります。ですから、クヌギの樹がわからないとならないです。そうしている間に、森にはいろいろな樹が生えていることが「見えてくる」かと思います。

須黒達巳著「図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?」(ベレ出版)という本は面白く、例えば、教本を買うだけではバイオリンが弾けないのと同じように、見分けられる目をつくっていかなければ、図鑑があっても生き物を同定することはできない、とのことです。

学生時代に登山サークルに入っていた私は、当時、高山植物の花々はとってもきれいでもっと名前がわかるようになりたいなと少しずつ覚えていきました。その中で、チシマギキョウとイワギキョウは似ていて、図鑑を見てもいまいち違いが分からず、いつもどちらかを見つけてはいちいち悩んでいましたが、ある時、やっとこ違いがわかる(見える)ようになった喜びを思い出しました。今もその区別は簡単にできるはずです。

須黒さんはあとがきで、近い未来にAI同定等の技術が発達していったら人力による同定技術は必要なくなる時代も来るかもしれませんが、私は自分の五感による同定をやめないでしょう、と。素手の同定も引き継がれてほしいものです、と書かれています。

話は戻って、森でカブトムシを探している最中、仲間の一人に「どのクヌギの樹にいそう?」と聞かれたので、私もわからんわ、と思いつつ、「匂い」と、答えました。たぶんウソでもないです。

みんな、いろんな虫を見つけてよく遊びました。それぞれ、どんな風に森を感じられたでしょうか。成長と共に、見え方も感じ方も変わっていくだろうな。私も自然を見ながら私自身の五感を育てていきたいです。

鈴木純著「そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい」(雷鳥社)には、植物の名前を知ることは友達になるようなこと、まちにどんどん友達が増えていく、と書かれていました。森に行かなくても身近に野草や鳥がいます。いろいろな角度(遠くから見る、近くから見る、季節で見る、音を聞く、匂いを感じる、等々)でおさんぽを楽しめると良いですね。